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芝居好きな珍獣シロクマの、主に観劇記などをUPした日記です

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凛然グッド・バイの観劇記第3弾・最終章の今回。
完全に・・・ではないがネタバレを含んだものとなる。

詳しく語るにはどうしても必要な部分だけに限るのでご容赦願いたい。


さて既出の通り今回の芝居は完全Wチームによる同一台本の上演。
春眠チームの役者は出口弥生・ののあざみ。
冬眠チームの役者は村上桜子・吉川貴子。

組み合わせが3通りある中で何故このチーム編成なのか?
まずそこが気になった。

それが意図してなのか、偶然なのかは分からない。
けれど結果から判断すれば、このチーム編成は絶妙だった。

ヴィジュアル面からまずみてみると・・・。
春眠チームは劇団内で最も長身の女優ののと最も背の低い出口の凸凹コンビ。
一方の冬眠チームは身長差も体型的にも近い村上・吉川のコンビ。

役者の質的な面からみると・・・。
クールな役柄や斜に構えた性格を演ずる事の多い役者コンビの春眠チーム。
片や女子高生役などに代表される「若さ」や「元気」のある役のイメージ強い冬眠チーム。

この2点だけからみても・・・。
シャープで男性的でスピード感を感じさせてくれる春眠チーム。
柔らかで女性的で華やかな印象を抱かせてくれる冬眠チーム。
というイメージの差がハッキリとしていて、それがそのまま舞台に表われていた。

それが最も顕著に出ていたのは舞台転換の仕方。

春眠チームは役者が舞台中央を早足でグルグルと回りながらの転換。
その際に道具と衣装をスピーディーに交換・変化させていた。
このとき照明変化は殆ど無く、観客の目はただ役者にのみ注がれることとなった。

対して冬眠チームは袖への出ハケが普通にあり、照明も大きく変化しての転換。
更に舞台上に溢れんばかりにある道具類を使い、衣装の変更幅も大きかった。
そこで既出の「対角線の位置取り」を用い、視点変化と舞台変化もシンクロさせていた。

舞台中央から殆ど役者が動かない春眠チーム。
舞台の左右、奥・手前などをフルに使った冬眠チーム。
両者が転換に用いた空間の大きさには相当な開きがあった。

この差を考慮して過去のアグリー上演作品を振り返ってみたとき。
『くちなしジョッキィ』の初演と再演が最も端的に違いを表していると思う。

初演が上演されたのは2003年で、会場はHEPホール。
再演が上演されたのは2009年で、会場はウイングフィールド。

分かる人なら分かるが、会場の差がとてつもない・・・。

キャパ的にはHEPが160~200人でウイングは概ね50~80程度(設営方法により変化)。
舞台の広さ・高さの差も大きく、照明その他の設備の差も大きい。

初演はその空間の大きさを最大限に活用したダイナミックな作品。
再演は空間の小ささを利用してコンパクトに収束させた濃密な作品。

初演が物凄くカラフルな印象なのに対して、再演はモノクロームのような印象。

これらの違いは、まさに今回の春眠・冬眠の違いと同一と思う。

春眠が現在のアグリーの作風の集約・集大成であるならば・・・。
冬眠は過去のアグリーの作風を再現・再構築してリファインしたもの。

両方観ることにより、劇団Ugly ducklingのこれまでを全て振り返ることが出来た思いがした。

アグリーは今公演をもって劇団としての活動を休止させることになる。
それはとても残念で哀しいし、勿体無いと思う・・・。

今回の芝居が珠玉の作品であり、アグリー初見の観客の多数を魅了した事実もある。
正直、「休止は休止にします!」と宣言して欲しいと思うぐらいだ。

だが一方で、これで良かったのではないか?とも思っている。
それは現在の形でアグリーがやるべきこと・やれることは突き詰めた感があるからだ。

そのことに気付かせてくれたのは、冬眠チームの終幕の仕方。

舞台上の道具類にかけられた白布を取るところから始まったこの芝居。
終わるとき、それらにまた白布がかけられて幕を終える・・・。
その道具類、勘違いでなければアグリー過去の作品で使用されたモノではなかったか?
だとすれば、やはりそこには「過去への訣別」の意味があったのではなかろうか?

「指し示す先に必ずある『嵐』に向かうため」に・・・。
自分達のこれからに必要なモノを装備するために・・・。
古くなった殻は一旦脱ぎ捨て、再スタートする必要があるのかもしれない。

その先に、もしかしたらまたアグリーの再開もあるかもしれないし、無いかもしれない。

けれどこの最終公演をもって、アグリーの全員は再出発を開始するのだ。

その訣別と再生の記念碑的な作品を観ることが出来たことを誇りに思う。


『凛然グッド・バイ』
東京公演が2011/01/07~/09、下北沢駅前劇場にて春眠チームのみ上演(全3回)。
福岡公演が2011/01/29~/30、ぽんプラザにて冬眠チームのみ上演(全2回)。

伊丹公演を観れなかった方は出来れば東京・福岡で両チーム観て欲しい。
伊丹で片方しか観れなかった方もどちらかでもう片方を観てもらいたい。

劇団Ugly ducklingの最後にして最高傑作の作品を、観逃すべきでは決してない!



最後に、心からの感謝を劇団Ugly ducklingに・・・。
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簡単にではあるが、物語の流れをまず説明したい。
ザックリ・・・なのであまりネタバレにはならないとは思うが・・・。
東京・福岡で観るので少しのネタバレも嫌だ・・・という方は読まないように。


『凛然グッド・バイ』

-開演前のアナウンスで既に物語への導入開始-

宇宙服を着た2名の会話。
宇宙探検?調査? 何某かの「仕事」をしている。
進展があるのか、ないのか分からない仕事・・・。
しかし突然の成果が!?

場面変わって、一人の女の葬儀に現れた女「デモ」。
亡くなったのはデモの師匠だった「セン」

「デモ」と「セン」、二人の女の物語がここから始まる・・・。

そこは<”詩人が世界の均衡を保つ>とされる時代。
生まれついての特殊な資質のある者だけが詩人になれる。

荒んだ生活の為に言葉さえろくに話せなかった少女時代のデモ。
そんなデモにセンは詩人としての教育を施す。

センは何故詩人になったのか?
デモは果たして立派な詩人になれたのか?

時代を遡り、それらの経緯が綴られていく・・・。

最後に、また宇宙服の2名の会話。
この物語は、果たしていつの時代のことなのか?
どこで起きたことなのか?


こういった流れの物語だった。

「セン」が「デモ」を教育する部分は「ヘレン・ケラー」を想像して欲しい。
実際、作者の樋口ミユさんもそんなイメージだと語られていた。

「宇宙服の2人」によって物語の最初と最後が挟んである構造。
これはSF作品などでよくみられる構造で、SF小説好きならニヤリとくるはず。
本編中のセリフなどから、舞台が地球だけでなく別の星にも及んでいると分かる。

戦争、環境破壊、社会の大変革、そして宇宙移民・・・。

つまりこれは「ポスト・シンギュラリティSF」とも捉えられる作品なのだ。

ただし、「何が、どこがシンギュラリティ(変化点)だったのか?」については言及を避けたい。
おそらくそれは観客それぞれに思うところがあるだろうから・・・。

ただ、その中心には必ず「言葉」がある。
詩人の武器は唯一言葉のみであり、物語を語るのも唯一言葉だからである。
自らを「言葉フェチ」と呼ぶ樋口さんならでは・・・と思う。

こうしたストーリーを、2つのチームで全く別の演出で上演したわけである。

「春眠」チームは「デモ」出口弥生、「セン」ののあざみ。
「冬眠」チームは「デモ」村上桜子、「セン」吉川貴子。

”序”でも触れたが、春眠チームはとにかく潔いくらいに抽象的だった。
必要最低限度のセットと小道具だけ使い、シンプルな舞台空間を創っていた。
場転も照明変化などはあまり使わず、全体が一本の線で構成された感があった。

それに対して冬眠チームは非常に分かり易く具象的にまとめてあった。
沢山の小道具が視界を賑やかにし、照明の変化も顕著で効果的だった。
特に舞台の対角線を使った構図が頻繁に見られ、静的な中にも動的な画が楽しめた。

どちらが好みか?というのは非常に難しい・・・。
けれど個人的な趣味からいえば春眠の方だったろう。

ちなみに・・・。
「春眠」→「冬眠」の順で観る方がいいか、「冬眠」→「春眠」か?
これも好みで分かれると思うが、クマ個人的には「春眠」→「冬眠」でよかった。
ただしコレは「ポワロが好きかコロンボが好きか」みたいな感じかもしれない。
どちらが良いとか悪いとか・・・は無い。

・・・脱線した・・・

とにかく同じシナリオでありながら、全くの別物に仕上がっていた。
そしてその完成度は両チームとも極めて高かった。


次回~急~では、もう少しネタバレな部分にも踏み込んでお伝えしてみたい。
劇団Ugly duckling第32回本公演・最終公演『凛然グッド・バイ』。
昨日2010年12月19日(日)、伊丹アイホールにて観劇。
13時開演の春眠、17時開演の冬眠、両チームを通し券にて観た。

この5年間、本公演は欠かさず、番外公演等も殆ど観てきた劇団。
それだけに観劇前にあれこれと想いが溢れてきてしまった。
その想いがかえって観劇の妨げになるのでは?とも思ったほど。

けれど芝居はそんな心配が全く無用の渾身の出来栄えで素晴らしかった。

春眠は小道具少なく衣装もシンプルにまとめて抽象的に。
冬眠は小道具・衣装もカラフルで具象的に。

ストーリーが分かり易いのは明らかに冬眠。
けれど観客の想像力をより掻き立てるのは春眠。

二つ観て、さらに理解できる物語。
二つ観て、さらに想像力を刺激される演出。

表裏・陰陽・始まりと終わり・出会いと別れ・・・。

合わせ鏡の無限連鎖のように果てしなく深く広がる世界観。
アグリーのエッセンスを究極的に抽出したかのような舞台だった。

とても1回の観劇記ではまとまりそうにない。
故に今後複数回を使って書いていこうと思う。
2010年11月14日(日)13時開演の北九州公演楽日を観劇。
会場は北九州芸術劇場・大ホール。

ついに・・・というかやっと・・・、この芝居を生で観れた事が嬉しかった。

キャラメルボックス25周年というメモリアルイヤー最後の作品。
上川・近江谷・西川というメイン3大キャストの豪華さはさすがに凄かった。

キャラメル初期の作品でもあり、若さと勢いが勝負な感のある芝居。
それだけに年齢を重ねたキャスト陣でどうなるのか、非常に興味があった。
もちろん、その若さや勢いでは往時に敵わなかったかもしれない。
けれど逆に老練ともいえるほどの間やテンポの妙が新味として活きていた。

殊に上川・近江谷の両氏による掛け合いは下手な漫才よりも面白かった。
あそこだけ切り取って観たら・・・漫才師の興行とみられるかも?

豪華で見応えのあるセットに衣装。
3大キャストの好演と他の役者達のしっかりとしたサポート。
どこをとっても不満など無さそうなこの芝居。

そこで敢えて不満を言うとするならば・・・。
まさにその「豪華過ぎる」という点。
主要キャストが豪華過ぎて、他への視点がボケてしまうのが最大の難点。
これはむしろキャラメルをよく観ている人ほどその弊害に陥りやすい。
例えるなら、漫画「美味しんぼ」に昔出てきた豪華な鍋焼きうどん。
もの凄く豪華な具材を一緒くたに鍋に入れてしまったような感じだ。

もちろんそれで芝居が不味くなっているわけではない。
けれどやはり、美味しさが重層的に畳み掛け過ぎて困惑する面はある。
その点で言うと、純粋に芝居というよりもむしろカーニバル的な感があった。
そしてそれはメモリアルイヤーのラストとしてはふさわしいのかもしれない。

それからすると、明日から始まるアナザーキャスト版には興味がある。
こちらはこちらでもちろん豪華なキャスト。
しかし、予想ではこちらの方が純粋に芝居としては楽しめそうな気配がある。
それを観に行けない・・・というのが非常に悔しい・・・。
是非とも、いつか映像化して欲しいものだ・・・。

今回のサンタのキャスティングや演出がある一方。
前回のシラノのようなキャスティングや演出がある。
両者を比較しての共通点や違い・・・について考察すると、また面白い気がした。

25周年を迎えたキャラメルボックス。
だが来年のラインアップその他をみる限り、まだまだチャレンジしていきそうだ。
2010年11月13日(土)19時開演の回を観劇。
会場は北九州芸術劇場・小劇場。

「サイコーマート」という地方コンビニチェーンの、とある店舗が舞台。
登場するのは全部で11人(日替わりゲスト1名含む)の個性的な面々。

店長の山鹿は30代後半。
親を継いでコンビニ店を経営するも、根っからのぐうたらで性に合わない。
突然消えたかと思えば、飲みに行ったり風俗に行ったり・・・。

バイト古参で実質的な店長ともいえる三村は山鹿と同い年。
バツイチで、子供の養育費を稼ぐために懸命に働いている。
マジメだが、キレると危ない・・・様子がうかがえる・・・。

バイト主婦の瀬戸内は40歳くらい。
早朝から昼過ぎまでのシフト専門で入っていて仕事もそつなくこなす。
30年ローンで買ったマンションのことが気がかり。

バイト女性の米良は30歳くらい。
店長と仲がいい・・・というか怪しい関係・・・?
大人しそうだが、内面は結構キツイかも・・・。

佳(けい)は20代前半の女性で台湾からの留学生。
少し(かなり)変な日本語を使う。
純粋でまっすぐ・・・だけど、やっぱりちょっと変わった感覚の持ち主。

奈宮は30歳くらいのバイト女性でお母さんと一緒に暮らしている。
派手なルックスに派手な私服。
見た目からしてもなんだかいろいろあったような・・・。

森脇は大学生で20歳のバイト。
ひょうきんで可愛いが、オーバーなリアクションがワザとらしい。
佳に思いを寄せられて少し迷惑そう・・・。

野尻は20歳のバイトで女子大生。
可愛いけれど、ちょっとネガティブな思考の持ち主。
同僚の森脇とは幼馴染。

木寺は30代半ばの男性で見るからにヤンキーな感じ。
店にいきなり現れてはトラブルを起こす。
奈宮と過去にいきさつがあるらしい・・・。

万引き犯・・・は日替わりのキャスト。
この上演時は藤尾加代子さんが担当。
なんだか・・・「不思議ちゃん」なキャラだった・・・。

そして物語の後半に登場するのが桑津。
40代後半の男性で、人とのコミュニケーションにかなり難がある様子。
野尻や森脇と過去に繋がりがあったようだが・・・。

終始コンビニのバックヤードだけで展開されていく芝居。
これらの登場人物達がそれぞれの思いを抱えながら関わりあっていく。


役者で一番注目して観ていたのは木寺役の寺田剛史さん。
アグリーの「ゲゲゲのげ」に出演されていたのを拝見して興味が湧いていた。
「ゲゲゲ」でもキモいというか変なキャラを演じていたが、今回も凄かった。
事前のTwitter情報から想像していた以上に凄いことになっていた(笑)

山鹿店長役の葉山太司さんも、以前アグリー北九州公演で拝見した。
そのときはご当地ゲスト出演でほんの少しの登場シーンしかなく残念だった。
今回、ちゃらんぽらんでいい加減な店長役を飄飄として好演していて良かった。

1幕11場のこの芝居。
場転は全て暗転で、その際に舞台上方の電光表示で時刻変化を告げる。
これが暗転時は客席に迫ってくるかのように錯覚するほど、妖しく光っていた。
客席に対して斜めに向くように切り取られたバックヤードのセットも秀逸だった。
舞台美術は・・・と見ると柴田隆弘氏の名前があり納得。
そういえば以前スクエアで見た氏の舞台美術も素晴らしかった。

物語の展開については再演の事を考慮して割愛するが、とても面白かった。
特にラストシーンは印象的で、視覚的にも心情的にも後を引いた。
どこにでもある風景の中に、いつもとは違うモノが入り込み、何かが壊れる瞬間。
そこには怖さと一緒に何か救いがあるような、カタルシスを感じた。

上演時間約2時間だったが、もっと早く終わったように感じた。
それほどに飽きをこさせないスピーディーな展開で、また興味の尽きない芝居だった。

木寺のセリフ中にある小倉ローカルネタ(「区」に関するもの)。
これについては本当にそういう意識が地元の人にあるのか気になった・・・。
まぁ、それが本当かどうかなんてものは筋には一切関係無いのだけれど。

最後に、若干のネタバレと非常に個人的な話にはなってしまうが・・・。
瀬戸内役の内山ナオミさんのスタイルの良さにクラっときてしまった。
観ながら、「そりゃ三村も幻惑されるわな・・・」と思ってしまった次第。
その内山さんが担当した衣装も、各キャラに合っていて良かったと思う。


終演後、ロビーにて物販&キャストによるお見送り。
今回の「蛙先生」の上演台本を購入し、お願いして寺田さんにサインしてもらった。
アグリーのことなど、気さくにいろいろとお話して頂けて嬉しかった。

飛ぶ劇場を知ったのは実はアグリーつながり。
ずっと前から観たいと思っていたのが、今回遂に実現して本当に嬉しかった。
「蛙先生」がドツボだったので、また機会を設けて観に来たい!と思った。

小倉にまた一つ、いい思い出が出来た・・・と思わせてくれた舞台だった。
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